FEATURE 100

ふたりのグローバーオール。

FEATURE 100

ふたりのグローバーオール。

ダッフルコートって海のコートですよね。
もともとは、イギリス海軍の甲板にいるクルーのためのもので、サイズがゆったりしていて、上からバサッと着るようなコート。

昔からミリタリー由来のものが好きでしたが、ダッフルコートをグローバーオールに別注したのは初めてです。軍由来の「MONTY」というモデルがベースとなっています。あえて軍モノらしさを押したモディファイにはしていませんが、ルックはダッフルコートにワッチキャップという王道のデッキクルースタイルで、軍モノという文脈に沿ってみました。

女性もバサッと羽織るのが格好いいと思います。汚れることとか気にせずに、「借りるよ!」といった感じで、バッと手に取り、羽織ってみてください。道具のように扱えるコートですので、ワイルドでラフに着るくらいがちょうどいいのではないでしょうか。

MEN’S MODELJACKET: MONTY WOOL COAT GLOVERALL/
KNIT: MAIN NOT CABLE KNIT/
PANTS: DC-6 GDT CORDUROY TROUSERS/
HAT: DUTY BEANIE
WOMEN’S MODELJACKET: MONTY WOOL COAT GLOVERALL/
KNIT: STAND MOCK NECK KNIT

今回、モディファイというかカスタムした、いちばんの特徴といえば、背中側の腰あたりについているアップリケです。ヨットクラブの人たちから使用済みのセイルを譲っていただき、カットして、縫製して、アップリケとして再利用しました。

セイル自体はとても大きく、風を受けるものですから、頑丈にするために縫製部分はジグザグで補強されます。それを縫うためのミシンもあるのですが、それもセイル工場で譲っていただき、試作品を作って、イギリスのグローバーオール社にどう縫えるか相談したりもしましたね。

アップリケのこの形は、船上で使われるフラッグをオマージュしています。2枚の三角形が重なっているのですが、魚の図形にも見えますよね。このアップリケの位置も、どこに置くかは結構大事で、ちょっと独特な感じが出るといいかなと考えて決めました。昔からよくスケートボードのデッキなどにステッカーを貼ってきましたが、その感覚に近いのかもしれません。

僕が最初にダッフルコートを着たのは、たしかVANのものでした。もっとナローでチクチクしていた記憶が子供の頃にあります。原体験はそこでした。これは身幅もワイドで、かなりたっぷり。形や素材などはいじらずに、スパイホップの大きい図柄が入ったライニングをつけました。デフォルトですが、風で裾がばたつかないようにレッグストラップもついています。このダッフルコートは、男性はもちろん、女性にも着てもらえると嬉しいなって思っています。

西山徹

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