FEATURE 97

DIRECTOR'S CUT WINTER 2023

『DIRECTOR’S CUT』では、DESCENDANT 2023 Autumn & Winterから冬の7つのスタイルを紹介します。それぞれのスタイルについての、ディレクターのこぼれ話も一緒に。

JACKET: MOUNTAIN HAT PADDING JACKET CLIMASHIELD
KNIT: GAUFRE WAFFLE CREW NECK
PANTS: 1995 DENIM TROUSERS BAGGY
HAT: DAWN BEANIE

このパファージャケットはいわゆるナイロンが生まれる前のアウトドアの王道、コットンナイロンの60/40クロスというオールドスクールな表地に、アメリカ製のClimashield® APEXの中綿を入れています。スナップボタンとファスナーというのもクラシックなスタイルですが、僕のイメージにあったのは、ビースティ・ボーイズの『Check Your Head』(1992年)くらいのときに、グレン・E・フリードマンが撮ったMCAの写真です。ちょうどこんな服装だった記憶で、彼らがセカンドハンドの服を着ていた頃のクローゼットをイメージしてスタイリングを組んでみました。昔、大事に見ていた一枚の写真というのはなかなか今も忘れられないものですね。

JACKET: SUNKEN COWICHAN SWEATER
CUT&SEWN: CACHALOT ORGANIC COTTON STRIP SS CLASSIC FIT
HAT: DORM 6PANEL

冬になるとDESCENDANTではカウチンを作っています。柄は自然だったり、ウィンタースポーツだったりをモチーフにすることが多いです。今年の冬はティールグリーンを使ったシャチの親子で、’80年代のAMERICA’S CUP(ヨットレース)のアブストラクトなポスターが好きで、そんな雰囲気になるといいなと思って作りました。コーエン兄弟の映画『ビッグ・リボウスキ』で、ジェフ・ブリッジスがカウチンの下に白いTシャツを着ているのですが、これを観て、カウチンの着方の正解がわかったような気がしました。カウチンの下にTシャツを着るって発想ってないですよね、チクチクしそうだし。だから、DESCENDANTで作ったものはチクチクしないようにしています(笑)。

CUT&SEWN: BURY ZIP FLEECE
PANTS: CLASP TWILL TROUSERS
HAT: CETUS 6PANEL

スタンドカラーのプルオーバーに、バイカラーのキャップのスタイルです。’90年代前半のニューヨークで見た同世代の人たちのこういった格好が今も目に焼きついているのですが、DESCENDANTはそういった情景をフラッシュバックさせています。スタンドカラーの格好よさってあるし、記憶ではみんなバイカラーのキャップをかぶっていた。’90年代のアイスホッケーの本を見ていたら、ことごとくキャップはバイカラー。今はかぶっている人があまりいないのもまたいいなって思っています。

CUT&SEWN: PE CREW NECK O3
PANTS: DUT SATIN TROUSERS
HAT: CACHALOT 6PANEL

JACKET: MANCHOT FLEECE JACKET
CUT&SEWN: CACHALOT ORGANIC COTTON STRIP SS CLASSIC FIT
PANTS: HORIZON FLEECE TROUSERS
HAT: CACHALOT 5PANEL

冬って気がついたら濃色のものが多くなっていませんか? 僕は多くなりがちで、たまに気分も落ちがちです(笑)。だから、このスウェットは黒は黒でも、水の使用量の少ないオゾン加工で色褪せた黒にしています。キャップもブラックデニムに白い糸を織り込んで明るい黒にしてみました。黒だけど淡色に見えるように。パンツはベタッと黒の濃色でコントラストが出るように。

ボアフリースのカーディガンもそういった意味では、黒という濃色なんですけど、起毛させることで淡色に見えるようにしています。メッシュのボンディング仕様で、保温性も肌触りも気持ちいいように。トリコットの裏地は明るい色目にして、パープルのトリムを入れています。パンツはテクスチャー違いのパープルのフリースです。トップスのアイテム名は「MANCHOT FLEECE」というのですが、MANCHOTとはフランス語でペンギンです。実はペンギンの様子から影響を受けているフリースなんです。今回のトップのメインビジュアルもなんだかコウテイペンギンみたいに見えませんか?

SHIRT: TETTY CORDUROY LS SHIRT
PANTS: SMOCK OXFORD TROUSERS CORDURA
HAT: DAWN BEANIE

JACKET: RANCHO DUCK JACKET O3
PANTS: DC-6 ORGANIC COTTON TWILL TROUSERS
HAT: DUTY BEANIE

思い起こすと、なぜか’90年代ってプルオーバーのものが多い。フリースやシャツ、チームジャケットといったトラッドなものが、当時の若者たちの新しい感覚にのっかっていたからかもしれません。中にフーディーを着るコーディネートってありますが、僕らが10代の頃はワードローブが少ない中で、寒さをしのぐために、ある意味仕方なくやっていたようなものでした。ニューヨークとか寒いところの人たちはなおさらですよね。ファッションじゃないんです。フーディーだけだと寒いので、もう一枚上に手持ちのシャツを着る、みたいな感覚です。着るシャツやコートは、お父さんのクローゼットからの流用で。今回、一番上に着ているのは、コーデュロイのスタンドカラーのプルオーバー。一癖も二癖もあるけど、いつものように着ているフーディーの上に、寒くなったら自然とかぶりたくなるようなものだと思っています。

最後のルックもフーディーのスタイルです。フーディーの上にダック地のワークスタイルのジャケットを合わせた、濃色のコーディネート。レイヤーのあり方のスタンダードで、寒くなるとこういった格好を僕自身もよくしていました。フルジップのものは着やすいので、自然とこういったスタイルに落ち着くんです。バイクに乗るときにもいいんですよね。

西山徹

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