DESCENDANT

「GRATEFUL DEADは60年代に生まれたバンドで、カントリー、フォーク、レゲエ、ジャズなんかのいろいろなジャンルを融合した点では、90年代で言うところのミクスチャーバンドなのかもしれません。公演が一旦始まると何時間も続いたと言われるライブには、近年だとジャムバンドと呼ばれるスタイルの起源でしょう。プロモーションやヒットチャートとは縁遠く、ライブ重視の活動はデッドヘッズ（ファンコミュニティ）からのサポートも手厚く、全米屈指の観客動員数を記録してきたアメリカを代表するバンドと言えます」

「GRATEFUL DEADを初めて聴いたのは'92年頃、ピザ屋でバイトしていたときの先輩がきっかけで。当時はお互いを知り合う為の話題と言えば、映画の話か音楽の話が鉄板で『なに聴くの？』『ヒップホップとかカントリーとか』『ふーん、ウィリー・ネルソンが好きなら、GRATEFUL DEADのこの辺がいいよ』と薦められたのが『AMERICAN BEAUTY』というアルバムでした。その頃からヒップホップも聴けばカントリーも聴くといった調子で。そこから年代順にアルバムを聴き進める中、1987年『Touch Of Gray』のメイキングビデオクリップには耳よりも目を奪われました。それまで古い写真や映像、雑誌や書籍、ブートの映像でしか近況を知る術のなかったメンバーやヘッズの『今』がビデオに収められていて、情報が極端に少なかった時代だからこそ、とてもインパクトのある映像だったのを覚えています」

「本筋の音楽という部分以外にも、アメリカに根付いた文化の一端に触れることのできるバンドだったので、ヘッズのファッションにも注目していました。当然タイダイのようなアイコニックなアイテムはいつの時代も健在ですが、アウトドアブランドのフリースやニューバランスといった当時のアメカジがあのシーンにあることを確認できて、とても心地よかったんです。そんな記憶がDESCENDANTを始めた当初からラインナップにも少なからぬ影響を与えています」

「1996年のベンチュラで開催された関連のライブに行ったことがありますが、ツアーの開催地に合わせて旅をしながら移動するデッドヘッズの存在は圧巻でした。会場外だったと思いますが、露店でフードは勿論、自作のTシャツやグッズ、ミックステープなど所々でトレードしていて、バンドと共に人生を歩むヘッズのコミュニティには熱いものを感じたし、バンドもファンも共に時代や世代を超えてクリエイションし続けているところに他には類を見ない面白さがあるんじゃないでしょうか。
今回のコラボレーションを通して、まだGRATEFUL DEADを知らない人たちに興味を持ってもらい、彼らとの不思議な旅に参加してもらえたらと思います」