FEATURE 18

THINK, TRY, DO.

2020年春夏コレクションは、D51、DWUといったブランドが始まった当初からの定番アイテムを継続しつつ、フライトジャケット、ドリズラー、サテンジャケットなど自分がこれまで愛用し続けてきたアイテムが加わります。さらに、夏に適したパッチワーク、マドラスチェック、テキスタイルなどのファブリックからDESCENDANTらしいシルエットのシャツをリリースする予定です。今シーズンは特に原点回帰的なのか、これまでのアーカイブを見直す形で新たなアイテムがラインナップに入っていると思います。
DESCENDANTでは、自分のウェアハウスから、これまでのワードローブ、アーカイブから持ち出してきたアイテムをいま現在の感覚とリミックスしながらコレクションを製作しています。当然そこにはサブカルチャーの要素を、自らの経験を通してインプットしたものをアウトプットしているので、とてもパーソナルな部分を持ち合わせたブランドと言えるのかもしれません。ただ、これまでの自分のワードローブやアーカイブから抽出したアイテムだけでコレクションを形成しているだけだと、ブランドのポテンシャルを狭めてしまうので、幅広い人に着てもらうことでDESCENDANTというブランドのイメージを色々と変えて見せることができればと思っています。

自分がファッションに興味を持ち始めた80年代は、それ以前のアメトラに替わり、アメカジというジャンルがファッションとして日本に根付いていった頃で、そもそもアメカジとはアメリカンカジュアルという和製英語が日本ならではの捉えられ方でファッションの一つのジャンルとして浸透していったものだと思いますが、それ以前のアメリカントラッドのシーンよりもカルチャーに踏み込んでいたような気がします。アメトラにもそういう部分はありましたが、アメカジはその名の由来のように、もっとカジュアルで子供から大人までが楽しめたスタイルで、その部分が良かったと思うんです。
その頃、映画や雑誌でしか見たことのなかったアメリカの片田舎のおじさんやワーキングクラスの人たちが着ているネルシャツにサーマルとジーンズのようなスタイルには、年齢も人種も関係ない、色々な見え方があって、当時子供だった自分も大きな影響を受けました。例えば、映画『E.T.』で登場する子供たちがまさにそれです。フライトジャケット、ファティーグシャツ 、ネルシャツ、トラッカーキャップ、ジーンズなんて具合に、大人が着ている服を子供も着ていて、ただ着ている人の年齢層が全く異なることでまるで違った印象を与えるような。
現在はそんな隔たりもなく、大人と子供の服に線引きなど無いような時代になった気がしますが、逆にそんな時代のスタンダードを改めて見つめ直しています。これからはジェネレーションやジェンダーを特定しないコレクションを作っていくことがDESCENDANTというブランドのあるべき姿ではないかと思っています。トレンドとは一線を画すバックボーンを持ったブランドとして、着ることでカルチャーを感じるような、着る人それぞれの個性を活かせるような服作りが自分の為にすべきことじゃないかと。先に原点回帰と言いましたが、最近ではそんなことを考えて服作りをしています。

DESCENDANTというブランドのアイテムを年齢、性別、人種、個性など様々な人に着てもらうことは目標の一つになりつつあるので、まずは取っ掛かりとして、今シーズンのカタログからビジュアルページを掲載することにしました。それには、やはり自分とは異なるアングルから客観的にアイテムを見て、個性あるキャラクターを起用し、その個性に沿ったコーディネイトを作り、アイテムを活かしてゆくことができるスタイリストが必要だったので、これまで何度も仕事をしてきた長谷川君にお願いすることにしました。曰く「人が着ることで服のカルチャーが見えてくるようにしたい」という彼の言葉通り、モデルを動かしながら服のシルエットを作ってみたり、こんな人がこんな風に着て動くとこう見えるみたいな。大人と子供をキャスティングしようというのも彼のアイデアで、子供にはあえてメンズのサイズの服を着せて表現してみたり。
そういう初めての試みに相応しい言葉として付けたタイトルが“THINK, TRY, DO.”です。考えて、試して、実行する。これまで自分が新たなことを始めるときに常にそうしてきたアティチュードでもあります。時代の流れを早く感じさせる昨今、DESCENDANTはこれまでのあり方とこれからのあり方、その間にある「今」に必要なスローガンを持って新たなシーズンをスタートしてゆきます。