FEATURE 28

Round-trip letter with TG トミー・ゲレロ氏との往復書簡

DESCENDANT にとって馴染みの深い、スケートボードのレジェンドでありミュージシャンのトミー・ゲレロ氏。
11枚目となるニューアルバムのリリースもまもなく、ディレクターの西山と交わした、東京ーサンフランシスコ間の往復書簡をお届けします。
TETSU
NISHIYAMA
Hi! TOMMY
ご無沙汰しています。
最後に会った時から少し経ちます。
11枚目となるニューアルバムをリリースされましたね。
おめでとう!!
早速聴かせてもらっています。
この時期、いろんな意味で思い出深いものとなりましたね。
今も世界はパンデミックに悩まされ、そして向き合っていますが、友人たちや家族が元気に過ごしていることを願っています。
あなたとの関係は、ボクがスケートボードに熱中していた10代の頃、
つまり80年代、あなたが世界のストリートスケートボーダーのパイオニアとして活躍していた時代、一方的にファンだった頃にまで遡ります。
その後、時を経て、あなたはミュージシャンとして活躍し、音楽の世界においても熱狂的なファンを集めながら幾度となく来日をしていたとき、幸運にも共通の友人を介して、あなたと知り合う事ができました。
その後、2019年には、カタログに付属するZINEに登場してもらい、なんと念願のスケートボードセッションも!
またDESCENDANTの出版レーベル、Sign主催の写真展にてプライベートライブを行なってもらったりと10代だったあの頃には想像もしてなかったことが現実となりました。
当然ながら人生は未知との遭遇の連続です。それこそ世界規模でパンデミックが起こると誰も想像していなかったように。
今年はニューアルバムのリリースに合わせて来日の予定だったと聞いています。
本来であれば来日の際、いつものようにライブに駆けつけ演奏を楽しんだ後、あなたたちと一緒に居酒屋にでも行っていろんな近況について話をしたかったのですが、そんな状況もあるので、今回は東京ーサンフランシスコ間の往復書簡という形でインタビューをさせてもらえればと思います。
では早速、
あなたはミュージシャンであり、スケートボーダーであり、父親ですが、
それぞれの役割においてあなたへインスピレーションを与えてくれることはなんでしょうか?
TOMMY
GUERRERO
Hi! TET
どの役割も分けることができないので、実際に”役割”は一つしかありません。
インスピレーションは私の周りの全ての人、場所、アイディア等から受けています。
まともな人間でいるように努力する以外は、他に何が私自身を動かしているかを正確にはわかりません。
TETSU
NISHIYAMA
インスピレーションとは人生で出会うもの全てから得られるものですよね。
ただ、それは他者に興味を向ける事ができなければななしえないことだとも思います。
リスペクトするカルチャーをはじめ、家族や友人から与えられる事は無限にあり、それをインスピレーションとして活かすも活かさないのも自分次第かなと。

自分自身、東京で生まれて育ったことは、これまでの自分に多大なインスピレーションを与えてくれたと自覚していますが、あなたはこれまでサンフランシスコで過ごしてきた事がスケートボーダーとして、またミュージシャンとしてあなたのスタイルを確立したのでしょうか?
TOMMY
GUERRERO
私はそうは思いません。音楽は普遍的で、限定されずどこにでもあります。メッセージを受け取れるかどうかは、その時にあなたがオープンでいるかどうかに寄ります。
サンフランシスコはあなたが誰なのか、または何になりたいのか等の自己探求を促し、歓迎してくれる場所です。だからたくさんの面白いキャラクターがサンフランシスコから出てきて、大衆やメインストリームと異なっても大丈夫だったのです。
TETSU
NISHIYAMA
サンフランシスコについて、教えてください。
あなたにとってサンフランシスコとはどんなところですか?
インスピレーションは暮らす場所にも宿るものですか?
TOMMY
GUERRERO
地理は、クリエイティブな思考をもたらす役割があると思います。
注意を払えば、インスピレーションを得ることができると思います。
TETSU
NISHIYAMA
それぞれの場所でそれぞれのスタイルはありますよね。
NY, LA, SFといった都市それぞれに。

ボクが10代の頃、アメリカのユースカルチャーにとても惹かれていたので、その頃に観た映画のほとんどはアメリカのものでした。

拙いですがボクの英語は学校ではなく映画から学びました。
それほど自分は映画というものが大好きでしたが、映画に寄り添う映画音楽も大好きです。
好きな映画音楽、サウンドトラックがあれば教えてください。
TOMMY
GUERRERO
大した映画ファンではないので、それほどの知識がありませんが、MorriconeのSpaghetti Westernの音楽は大好きです。それからJohn Carpenterのサウンドトラックのクオリティは素晴らしいですね。
まさにCarpenterの映画音楽だと思います。
TETSU
NISHIYAMA
Carpenterの作品はボクも好きです。
サウンドトラックは劇中、いろんな感情を起こさせてくれますよね。
多感だった10代に吸収した映画や音楽のそのほとんどがアメリカからのものでした。

あなたにとってアメリカはどんな国ですか?
60年代生まれかと思いますが、その頃から今まででどんな変化を体現してきたのでしょうか?
TOMMY
GUERRERO
現在のアメリカを考えるとそれほどの変化はありません。何度も同じ戯言を繰り返している様に見えます。何も学んでいない権力と、市民が変化を望んで選挙に参加していないから。
私たちは明白な人種差別が終わった事だと思っていましたが、それは真実から程遠いのが現状です。
故意の無知が蔓延しています。
TETSU
NISHIYAMA
88年にリリースされたスケートビデオ “Public Domain”でスケートデッキに “END RACISM”と描いていたことがあります。
その時、何があなたを突き動かしてあの表現に至ったのでしょうか?
TOMMY
GUERRERO
アメリカの褐色人種の奮闘をノンフィクションやアメリカの歴史の本を読んで知った事です。
ボードは私のメッセージの伝達手段です。幸運なことにStacyはそれを残すことに賛成してくれました。
TETSU
NISHIYAMA
あのときあの時代に個人的にとても心に残ったステートメントでした。

自分にとってサンフランシスコはスケートボードの聖地です。
あなたが “Future Primitive”で登場したサンフランシスコでのシーンにはとても影響を受けました。
サンフランシスコの地形ゆえにダウンヒルはローカルの基本だと思いますが、どこのダウンヒルがオススメですか?
ダウンヒルについて面白いエピソードがあれば教えてください。
TOMMY
GUERRERO
9th アベニューはさまざまな丘が続いています – バスで頂上まで行き、沢山の車道、ステップ、カーブカット等を2マイルほどクルーズします。ストリートにあるスケートパークです。
TETSU
NISHIYAMA
「ストリートにあるスケートパーク」。
まさに地形を読んでいるスケートボーダーならではの視点ですね。
ストリートスケーターのパイオニアであるあなたがならではですね。

バンドのチャックやマットとは長いリレーションがあると思います。
やはりスケートボーターというところに何か深い絆があるのでしょうか?
TOMMY
GUERRERO
Chuckとは約40年の付き合いです。Mattは25年以上。
スケートは絆です、なぜなら同じ経験、試練、苦難等がありました。私たちは平均的な人が一生に転ぶ回数より多く、1日に何度も転び、起き上がります。これは特定のタイプの人を育てます。
なので、私たちは独自の方法で分かり合えるのです。
TETSU
NISHIYAMA
最後に会ったのは、2019年の来日でした。
DESCENDANTの出版レーベル、Sign主催で写真家、平野太呂の写真展に合わせてシークレットライブをやってもらった時です。
あのようなゲリラ的環境でも演奏してもらえたことにとても感謝しています。
TOMMY
GUERRERO
素晴らしい時間でした!
TETSU
NISHIYAMA
あのときににかぶっていた「DUB」とプリントされたキャップが印象的でした。
おそらく自分で作ったものですよね?
TOMMY
GUERRERO
はい。
他の人はあなたの考えやアイディアを実現するのを待っているべきではなく、自分が持つものをできる限りの力で、今行動に移すことが大事だと思います。
TETSU
NISHIYAMA
ボクはDIYの精神が今の自分をつくったと思っています。
誰かがやってくれることを待つのではなく。
自分たちの信念で行うべきことを自分たちの手でつくってきたということにおいてです。
あなたにとってDIYはどんな意味を持っているのか聞いてみたいです。
TOMMY
GUERRERO
新しいことを始めるのに、 “正しい”時や “適切な”ツール、装備を待っていたら、きっとそこには辿り着けないでしょう。
正しい時は今で、使うものは手元にあるツール、スキルなのです – それが何であれ。
必要とされてやっているだけで、やりたいからやっているわけではない。私がやることは自分を保ち、地に足を着け、目的を与えてくれます。
あなたのニーズ、アイディア、夢などを叶えるのに、他の人を頼ってはいけないのです。
TETSU
NISHIYAMA
これまで何度も来日を果たしています。
お気に入りの会場や、日本での過ごし方について聞かせてください。
TOMMY
GUERRERO
私はさまざまな街のさまざまな会場で演奏したので、難しいですね。観客が素晴らしい公演を作り出してくれるので、荒廃したパンククラブでもエナジーがそこにあれば、それは永く印象に残ります。
とはいえ、京都のClub Metroはいつも最高です!
あと、渋谷のduo MUSIC EXCHANGE Inc.は西村良太さんが1番カッコ良いです。
TETSU
NISHIYAMA
読まれている方々は驚くかもしれませんが、あなたが来日の際は、よく渋谷の焼き鳥屋に行ったものです。
日本のレストランのお気に入りを3つ教えてください。
TOMMY
GUERRERO
あまり、場所や名前をほとんど知らないのですが、渋谷の鳥竹はお気に入りです。
うさぎラーメンも好きですね。
TETSU
NISHIYAMA
鳥竹はいいですね。ボクも高校生の頃から行っています。
ライブの後、何度か一緒に行きましたね。

今回新たにアルバムをリリースしましたが、新譜を解説いただけないでしょうか?
TOMMY
GUERRERO
The Endless Roadに似ていますが、もう少し多様です。
“TG”レコードっぽい。それが説明するのには一番良い言い方です。
カバーのアートはBrian Barneclo – 私は何年も彼のファンです。アルバムのタイトルを考えたときに、彼にブーンボックスのアイディアでアプローチしましたが、彼はそれを受け入れるだけでなくとても喜んで一緒に仕事をしてくれました。
彼は80年代にスケートをしていたので、すぐに仲良くなりました。
結果にとても満足しています。
TETSU
NISHIYAMA
“TG”レコードですか。
とてもわかりやすい。
ファンとしては安心して楽しめますね!
カバーアートのBrian Barneclo 、彼もまたサンフランシスコで活動をしているアーティストなんですね。
80年代にスケートをしていたというところも素敵な出会いであり、素晴らしいコラボレーションだと思います。

往復書簡というのは、会話やメールと違い、思いがけないコミュニケーションが生まれてとてもおもしろかったです。次回は実際に会って話せるのを楽しみにしています。
今回はありがとうございました。
TOMMY
GUERRERO
ありがとう、TET
ご家族もお元気なことを願っています、アミーゴ
2021年01月20日発売
CD日本先行発売 A式紙ジャケット
TOO GOOD/ RUSH PRODUCTION/ OCTAVE-LAB OTLCD2530
Liner notes:Hashim Bharoocha
Photo by Claudine Gossett
  • TRACKLIST
  • 1.By the Sea at the End of the World

  • 2.Evolution Revolution
  • 3.Of Things to Come
  • 4.Descendent of Memory
  • 5.Down Thru Light
  • 6.A Thousand Shapes of Change
  • 7.Future Deserts
  • 8.Up From the Dust
  • 9.Quiet Heat
  • 10.Rise of the Earth People
  • 11.Mysterious Frequencies
  • 12.The Road Under My Shoes
2021年01月20日発売
CD日本先行発売 A式紙ジャケット
TOO GOOD/ RUSH PRODUCTION/ OCTAVE-LAB OTLCD2531
Liner notes:Hashim Bharoocha
Photo by Claudine Gossett
  • TRACKLIST
  • 1.Starlight Lullaby
  • 2.Expanding Night
  • 3.Twilight
  • 4.Floating Fire
  • 5.Traveling Light
  • 6.Below the Black Canopy
  • 7.Painted Hills
  • 8.Broken Plains
  • 9.Wonder Valley
  • 10.Agua Morena
  • 11.Rain Shadow