FEATURE 124

raregemと作ったトートとパンツ。

何度も一緒にものづくりをしてきたraregemと、今度はコールバッグとワークパンツを作りました。raregem主宰の西條賢さんと、縫製部部長でありパートナーの西條亜紀さんに、あらためてブランドのことから、今回のアイテムの細かなこだわり、そもそもどうして鞄を作り始めたのか? といったところまで、詳しくお聞きしたいと思います。 raregemとは? ショップデザインやレジデンシャルデザインを自分の手で考えてつくる、設計と施工の会社です。また、鞄を中心とした身の回りの製品を自社で開発、製作するスタジオラインも展開しています。(西條亜紀さん:以下亜紀さん) バッグ作りのはじまり。 2011年のことです。裁断後に余った革を縫い合わせて、ベルリンのバンド、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのブリクサが着ているようなベストを自分用に作りたいなあと考えたのですが、当時使っていた職業用ミシンでは縫えない厚さだったんですよ。そんな矢先にたまたま入ったお店で、戦前に馬具などを作っていた極厚物用のシンガーミシンに偶然出合って、譲ってもらったんです。(西條賢さん:以下賢さん)
若い頃に代官山のメゾンでお針子をしていた西條の叔母の手を借りて、その古いミシンを使いこなせるようになり、ベストだけではなく、前から欲しかった道具を入れるためのバッグも作り始めたことがスタジオラインのきっかけになりました。(亜紀さん)

帆布との出合い。 佇まいのよいヴィンテージのバッグを参考に見ていると、生地の端がほつれ止めのなされたセルビッチ仕様になっていることに気付きました。これは昔のシャトル織機でないとできない仕上がりなんです。ということは、今でも古い機械で作っている帆布生地を探せばいいのだと思い、倉敷の工場にたどり着きました。そこは、隣の人の声が聞こえないほどにものすごい音を立てて機械が動いている世界で……。僕たちの生地はゆくゆくは本社の親戚工場で織ってもらうことになりますが、直感でぜひお願いしたいと思い即決でした。ガサッとしたワイルドな手触りやポツポツとした黒い斑点は、織り機で織ったままの無加工、無染色な証しで、これがまた、いい風合いを出してくれているのです。(賢さん)

印象的なステッチの意味。 バッグ製作の様子を映した古いアメリカの映像を見ていると、職人の縫うスピードが異常に速いんです。なぜ? と思ったら、生地にラインが織り込まれていて、それを目安に縫っていたからなんですね。少人数で製作するraregemのバッグも効率よく縫えるように、生地と生地を合わせる両端から3cmの位置と、ハンドルの付け位置にラインを織り込むことにしました。作業効率をよくするためではありますが、結果的にこの合理的なラインがバッグの顔となり、デザインになっているんです。ハンドルにある糸がつながったステッチは、効率よく作り上げるために一筆書きのように続けて縫う作り方の表れです。(亜紀さん)

今回のコラボレーションならではのアレンジ。 薄手のリネンを高密度で織った薄手の10号帆布を底に縫い合わせて、夏らしい雰囲気に仕上げています。生成りとグレーの色の組み合わせは、品があり、きちんとしているDESCENDANTらしさを思い浮かべて考えました。旅行などでも持ち運べるサイズが大きいほうは、ジッパー付きで、持ち手が長く、肩にもかけやすい構造にしています。(亜紀さん)
実際に新幹線に乗った際に使ってみましたが、Zipを閉めていると上にiPhoneが置けることを発見してびっくり(笑)。逆に、全開にしたらピタッと側面にくっつき、位置的に内ポケットも隠れるので、開けっぱなしでも大丈夫です。見た目はシンプルで、道具として機能的なので、ご自身の生活の中でそれぞれの使い方を楽しんでもらえると思います。(賢さん)
最初で最後のパンツ。 雲斎織といって、江戸時代に岡山県で生まれた織り方(綾織)で作られた生地を使用しています。通常は足袋底に使われるような織り方で、薄くて軽いけれど、目が詰まっていて丈夫なんです。(亜紀さん)
股上が深く裾が真っ直ぐで、ヒップが立体的で足を上げやすいシルエットのパンツに仕立てました。脚立も上りやすくて僕も気に入っています。こちらも先ほどの倉敷の本社工場が織った生地なのですが、残念なことに数年前に廃業してしまい、その際に残っている分を引き受けた生地なのです。だから、残念だけれど今後同じものはもう作れない貴重なパンツです。(賢さん)

ブランドとのコラボレーションの醍醐味は? コラボレーションと聞くと、たとえばバニラアイスに別フレーバーがのっかるみたいに、異なる味が掛け合わせるイメージがあるかもしれません。ところがそんなに単純なものではなく、もはや違うシェフが作ったくらいの大きい変化が起こる楽しさがあります。スタジオラインが動き出した直後、最初に製品製作をお願いしてくれたのが西山さんだったのですが、西山さんの希望でWTAPSの赤いタグをバッグに付けることになりました。そうしたら急にバッグの顔つきが変わって、自分たちでは到底思いつかないものが生まれたことに非常に盛り上がりました。特に西山さんとは少し会話を交わすだけでもお互いの言いたいことが伝わるので、一緒にお仕事をしていて面白いのです。(賢さん)

何をするにもraregemが大切にしていること。 「家族が家族のためにちょうどいいものを作る」という感覚で始めたスタジオラインは今も、デザインから製作という最初から最後までの過程を自分たちの目の届く範囲で形にしています。今回の鞄も、長い付き合いのあるDESCENDANTのために自らの手を動かして丁寧に作り上げました。ワークパンツは、パターンと生地をお渡しして、DESCENDANT製で作ってもらっています。シンプルかつ機能的で時間も場所も選ばないので、手にとっていただいた方が長い時間を共にできたら嬉しいなと思います。(亜紀さん)

raregemとのコラボレーション商品は、7月18日(木)よりDESCENDANT取り扱いの各店舗にて発売します。

COAL BAG TOTE L raregem COLOR: WHITEPRICE: ¥39,600
COAL BAG TOTE M raregem COLOR: WHITEPRICE: ¥26,400
WORK TROUSERS UNSAIORI raregem COLOR: BEIGEPRICE: ¥31,900

※価格は全て税込価格です。

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