FEATURE 21 DESCENDANTのトレードマーク、 クジラのロゴについて DESCENDANTのトレードマークであるクジラのアイコンはCACHALOTと名付けられています。 CACHALOTとは、マッコウクジラを指す仏語の学識名で、「カシャロ」と発音します。 ディレクターである西山の息子が、まだ言葉も話せない幼い頃、 乗り物やキャラクターよりも水の中の生き物が大好きだったことで、 ほとんどのオモチャは魚やクジラ、 絵本より図鑑を好み、 アニメにかわって海洋生物のドキュメンタリー映画『OCEANS』がヘビーローテーションに。 なかでも、彼の一番のお気に入りはマッコウクジラで、 未知なる深海へ姿を消してゆく大きな姿に惹かれていたようです。 マッコウクジラは、標準的なサイズで雄16~18メートル、雌12~14メートル、 産まれたてのこどもでも約4メートルもあると云います。 成熟した雄で体長の3分の1に達する肥大化した頭部には、全動物の中で最大級の脳を持ち、 エコーロケーション(反響定位)に用いる脳油で満たされています。 その巨きさ故、近代文学の世界では『白鯨』『海底二万里』等、凶暴な敵役として描かれてきましたが、 じつは人懐っこい性格で、家族や仲間との絆を大切にする生き物なのです。 生涯の3分の2を深海で過ごすマッコウクジラの潜水技術は、母と子の特訓によって伝授されます。 なかなか潜ろうとしないこどもには授乳しながら潜ってコツを教える等、 子育ての苦労はまるで人間のようです。 専門家による生態調査では、潜水の未熟なこどもを海面に残し深海からイカを送り届けたり、 シャチに包囲された親子を若い雄のグループが救出する場面も観察されています。 過去には巨大な頭部を満たす脳油(鯨蝋=ロウソク、石鹸、灯油、機械油として利用)を目的に 乱獲されましたが、現在は国際的な保護活動のもと個体数を回復しています。 夫妻は、こどもを授かって、 マッコウクジラが母から子へ潜水技術を伝授するように、 将来、こどもたちの前に広がる世界へ、限りない未来へ、自らの足で踏み出せるよう 両親が何を行なってきたのか、その姿を見せておきたいと思うようになりました。 伝授とまで言わなくとも、その背中を見せてゆくことで、 彼らに生き方のひとつだったことを知っておいて欲しい。 そんな思いから、息子の大好きだったマッコウクジラがモチーフとなり、 そのアイコンはDESCENDANTの一つの顔になりました。 今では定番のCACHALOTに始まり、多岐にわたるバリエーションが存在しています。 潮を噴くクジラ、潜水艦に擬せられたクジラ、 スパイホップ(偵察行動)するクジラ……。 クジラのロゴマークに込められた思い。 改めてコレクションをご覧いただき、 CACHALOTの色々なバリエーションを発見したら、 その中からお好みの一頭を見つけてください。 SHARE DATE 2020.4.25 CREDIT illustration: Keita Inoue text: Nobukazu Kishi