FEATURE 03

好きな物事を突き詰めた先にある DESCENDANTとカルチャー

DESCENDANTの服づくりにはいくつもの入り口があります。
あんなアイテムが欲しい、こんな風に着たい、そんな生地で作りたい……。
アイテムそのものにフォーカスして具体的なイメージが湧くときもあれば、その服を着ているシーンを思い浮かべてイメージを膨らませるときもあり、あるいはファブリックの質感や経年変化に刺激されて企画に発展することもあります。
日々の暮らしの中でも、たとえば映画の登場人物が着ている服が気になったり、古い雑誌を読んでいて当時の色使いに惹かれたり、キャンプを楽しみながらディテールの工夫を思い付いたり、スリフトショップで古着の素材感に懐かしさを覚えたり……そういう好きなモノやコトに触れているときには、より多くのインスピレーションを得てきました。

こうして企画された服づくりは、チームでイメージを共有し、DESCENDANTらしいモディファイを加えた上で、生地や付属パーツを探すことから始まり、更に仕様を追求していきます。
それぞれのアイテムにはそれに相応しい素材感というものがあり、オーセンティックなワークウェアならばポリエステル混のT/Cツイル、クラシックなミリタリーならばコットンまたはナイロン混のバックサテンやリップストップ、90年代のアウトドアならば撥水性や耐久性のある機能素材といった具合に、スタイルと生地の組み合わせは時代と共に定着してきました。それらを前提として選ばれた生地の質感や色合いが記憶の中のイメージと一致すれば良し、もし一致しなければ、生地自体を特注することも珍しくありません。

生地の縫製や刺繍にもアイテムや時代ごとに特徴があり、そうしたディテールの時代考証をするために、スタジオでは様々な年代の古着をストックし、アーカイブとして参考にしています。
たとえば、ジャケットにキャラクターを刺繍する場合には、時代考証に見合った仕様を踏襲しつつ、針の振り方一つで印象の変わってしまうキャラクターだけに、実際の生地を使った試打ちが欠かせません。一世代昔の縫製を再現するのに特殊なミシンが必要だったケースでは、スタッフが生産工場でたまたま見付けた古いミシンが役立ったことも。また、シャツやカットソーで展開するタイダイやブリーチ加工の際には、事前に染めの濃淡やブリーチの反応を確認するため、何度もテストを繰り返してから生産ラインに乗せています。
その他、コレクションのサンプル製作とは関係なく、チームのメンバーが個人的に染色やデニムのダメージ加工を工場に発注し、そのフィードバックから製品化へ繋がったこともありました。

アイテム自体にフォーカスしたもの、着ているシーンを思い浮かべたもの、生地の印象から着想を得たもの……それぞれ違う入り口を通って製作されたものでも、最終的な出口ではイコールになっているのがDESCENDANTの服だと思います。好きなモノやコトを突き詰めたところにカルチャーがあり、そういうカルチャーに根差したDESCENDANTの服づくりは、たしかに一風変わっていますが、その方法しか知らないのも事実だから仕方ないでしょう。

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