FEATURE 117

ロングスリーブのすすめ。

FEATURE 117

ロングスリーブのすすめ。

今でこそ、当たり前のようにロングスリーブTシャツ(以下ロンT)をショートスリーブTシャツ(以下Tシャツ)のように着ている人を見かけますが、80年代はそうでもありませんでした。

当時はまだTシャツもロンTも、特に無地のものはどちらも下着の位置付けだったのかと思います。ただ、ファッションシーンにおいてはまったくそんなことはなく、ひとみさん(大川ひとみさん)のミルクボーイ、ノブさん(北村信彦さん)のヒステリックグラマーなど、ドメスティックブランドからも多くリリースがあった時代ではありました。

海外文化から多大な影響を受けてきたあの時代を考えると、UKパンクとその後のヒップホップからの影響がコンバインされたハイブリッドなロンT感がとても印象的です。そうやって当時のシーンを回想すると、BMXやスケートボードといったアメリカ西海岸発信のカルチャーから影響を受け始めていた僕たちは、先にあったシーンとは異なる文脈でロングスリーブを取り込み始めていたということが考えられます。

CACHALOT ORGANIC COTTON STRIP LS CLASSIC FIT

OTL ORGANIC COTTON LS

Tシャツ、ロンT、パーカー(フーディ)、トレーナー(クルーネック)、スウェットパンツなどのジャージー類がUSのスポーツウェアの基礎となり、カットソーというカテゴリーがカジュアルウェアに台頭してきた時代ですから、シーンはファッションというよりも普段着という在り方だったのかもしれません。映画とMTVとTHRASHER MAGAZINEを頼りにしてきた僕やその仲間は、アメリカの同年代のキッズたちがどのような格好をしているのかを覗き見していたわけで、今思うとある種それは先にもいったようにファッションというよりも生活の中で生まれた着こなしであったのかもしれませんね。

HORIZON LS PIGMENT DYE

HORIZONTAL STRIPE LS

中でもロンTは今でも大好きなアイテムのひとつです。当たり前になってもそれほど着ている人を見かけないのもいいのかな。今シーズンもちゃんとロングスリーブのTシャツを作りました。10年前のDESCENDANTの立ち上げからずっと欠かさずに作り続けているのですが、たぶん、ロングスリーブを毎シーズンこんなに作っているブランドなんてなさそうですよね(笑)。

HORIZON ORGANIC COTTON CROP LS

西山徹

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