FEATURE 129
ワークウェアの本質。FEATURE 129
ワークウェアの本質。以前、raregemの西條賢さんと作ったプロトタイプのチョアジャケットがあったんです。結局、製品化されることはなかったのですが、今季のコレクションではそのジャケットをイメージしてraregemとのものづくりを賢さんにリクエストするところから始まりました。
リクエストに対して、具現化するパワーを賢さんはすごく持っている方です。それに対して、パートナーであり縫製部部長の西條亜紀さんの手が入ると、亜紀さんならではの繊細さや丁寧さが加わります。おそらく、賢さんのアイデアを細かいところで形にしているんだろうなと思うのですが、賢さんの思考を無垢に残しつつ編集されているのがraregemなんです。
たとえば、シャツジャケットの裾周り始末ですが、通常のアパレルがとる縫製はパイピング始末を選ぶことが多いかと思うのですが、賢さんと亜紀さんは、あえてバッグなどで用いる「ロックして二つ折り」という始末を選んでいました。だから、身に着けるものではあるのですが、どこか道具のような佇まいも持ちあわせているんです。生地は、厚手で頑丈なraregemのオリジナル8号帆布を使っているので、ボタンを閉めて着ても動きやすいように、背中にはマチがつけられています。賢さんがこれを着て、作業して、生活して、生地の繊維が暴れ出して仕上がった様が、このシャツジャケットの着方の正解になるんでしょうね(笑)。
エプロンは自分たちでも作れるとは思ったのですが、やっぱりraregemだったらいいねとなってお願いしました。賢さんたちが作るとやっぱり道具になるんです。今回は普段から使いやすいようにと、少し薄手の11号帆布を使い、丈を短めにしてくれました。キッチンに立つときはもちろん、上にジャケットを羽織ってそのまま外にも出かけられます。ポケットもあるので、鍵や携帯を入れたりと、バッグもポシェットもいりません。実際に僕も週末はこれを着て長靴を履き、ハーバーで過ごすことも少なくはありません。
エプロンって、自分の体にフィットするように紐で調整したりすると思うのですが、賢さんは自分でいちいち設定するのも面倒でしょうと、このエプロンは背中の豚バナで紐がまとめられ、かぶるだけでいいような、紐の通し方ひとつちゃんと考えられた仕様になっています。
ポストマンバッグは形からオリジナルで作ってほしいとリクエストさせてもらいました。普通のポストマンバッグで見られるようなフラップはなく、スナップボタンで留められるようになっています。内蓋もボタンで留められます。作ったサンプルはしばらく実際に使ってみて、その結果、短い持ち手をつけたほうが使いやすいとアップデートしてくれました。
トラウザーはシャツジャケットとセットアップでも使えるように共地の8号帆布で作られています。4型ともいわゆるワークのファブリックを使ったDWU(DESCENDANT WORK UNIFORM)です。ワークウェアはワーク屋さんと一緒に作るのが理想です。靴は靴屋さんに、と同じ考えですよね。
西山徹
raregemとのコラボレーション商品は、9月19日(木)より
DESCENDANT取り扱いの各店舗にて発売します。
※価格は全て税込価格です。