FEATURE 78

マンゴーレッドの秘密。

パリのメゾンだったらオレンジ。
ニューヨークのジュエラーならブルー。
LA のバスケならイエローとパープル。
なぜその色なのかはわからないけど、ブランドやチームには大事にしている色があります。

今回はディセンダントの色の話を少ししてみようと思います。

僕たちは、マッコウクジラをトレードマークに決めたときに、この世界観に合う色も一緒に選びました。
それは、クジラが泳ぐような海の色であったり、海のすぐ上の空の色であったりするような、ティールブルー、ペパーミント、マンゴーレッドといったカラーです。
これらのなんともわかりづらい不思議な色合いというのは、多感だった’90年代に僕らの身の回りにあった思い出の色でもあります。
なかでもマンゴーレッドは、毎年夏になると作るカラーです。この色は、海に夕陽が沈む色、つまりサンセットを表現しています。
紺やベージュのように世の中で流行るような色ではないのですが、よく晴れた先日も、おそらくアメリカ人の60 才は超えたおじさんが、この色のポロシャツに、チノパンをはいて、東京の街を歩いていました。こういう方を見かけると、まさに僕らのミューズ(男版)のような存在ですから、つい嬉しくなってしまいます。ジム・ジャームッシュやソフィア・コッポラなどの映画監督でいう、ビル・マーレイみたいなものでしょうか。
アメリカ本土には今もちゃんといるんです、ナチュラルにマンゴーレッドを使いこなしているおじさんたちが。

もともとマンゴーレッドは、僕がよく見ていた’90 年代のアウトドアブランドのカタログにそういう表記がされていて、なんだかいいなあと思って、記憶に残っていた色でもあるのです。
いわゆるアイランドカラーで、海外では総じてこういう呼び方をしているのだと思います。
ハワイやグアムなどのリゾートアイランドやマイアミなどに行くと、マンゴーレッドと呼ばれる色があって、カヌーなどに使われているのを見かけます。アイランドバイブスのオレンジですね。

少し話は変わりますが、レアジェムの西條賢さんはペパーミント色の丈の短いショーツをボロボロになってもはいています。
賢さんはカヌーが好きで、自身で作って乗ったりしていますが、しかるべき場所に行かなくても、ペパーミントという人があまり選ばない色を都会でも息を吸うように使いこなしているのだなと、夏になるたびに思います。

いつもの生活にこのような自然の色を持ってきて、どう機能させ、使いこなすのか? そういう意味では、マンゴーレッドはとても難しい色ですが、こういう色を気負わず使いこなせるような大人になりたいとも思うのです。
海に行くときに、ちょっとこの色を思い出して着てみる行為も大人だなって思ったりもしています。


西山徹

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