FEATURE 99

Story board_Cowichan

物語があるのがカウチンですよね。
僕がカウチンを作るときは、シーズン毎にDESCENDANTが描く物語や思い出を絵コンテのように図案化しています。なので、そのシーズンにしか出てこないというような、切手やイヤープレートのようなコレクタブルなアイテムとしても楽しめるといいなと思いながら、冬のリリースを迎えています。

今シーズンのものを加えて、これまで5着のカウチンをリリースしてきました。いちばん古いのはペンギンの柄だったと思います。なくはないモチーフではありますが、コウテイペンギンが越冬する様子や、海に最初に飛び込むファーストペンギンの勇気だったりとか、そういったサブテキストを持たせたものです。

動物ものでいうと、DESCENDANTではお馴染みですが、マッコウクジラの偵察行動である海面から顔を出して周囲を確認するスパイホップを図柄にしたものを昨年は作りました。

毎年4、5回はスキーに行っているので、その経験から雪山の山脈とスキーヤーモチーフで製作したこともあります。これは完全に僕自身の冬の思い出を図柄にしたものですね(笑)。表に編まれた「14」という数字は、DESCENDANTのスタートの2014年からとっています。

変わり種は、もう薄々感じていると思いますが、グレイトフル・デッドとコラボレーションした一着です。もし仮に、古着屋で見かけたらびっくりしますよね。あのロゴじゃなくて、テラピンですから(笑)。デッドはいまだにそうなのですが、人が聴いていたり、ラジオで掛かっていたりすると、どうしようもなく自分のプレイリストが聴きたくなってしまいます。年代によってスタイルが異なるので、自分のもっているデッド感が聴きたくなっちゃう。僕は、わりと初期のほうにそれをもっていて、1970年の『ワーキングマンズ・デッド』と『アメリカン・ビューティー』がそうですね。このカウチンの図柄は、1977年の『テラピン・ステーション』というアルバムがモチーフで、小屋のような駅の前で踊るテラピンを表に、裏にはデッドベアを入れました。アルバムのジャケットは昼間なんですけど、彼らが夜までそのまま遊び続けているというオールナイトロングをイメージしたので、色合いも夜な感じにしています。テラピンとデッドベアの夜な夜なパーティーですね。

そして、今シーズンは、家族でよくカヤックで湾に出て遊ぶことが多かったこの夏の経験を、泳ぐシャチの親子として図案化しました。’80年代のAMERICA’S CUPのポスター的なアブストラクトな雰囲気も出るように。色はティールグリーンを中心に。色はあったほうが楽しかったりしますよね。

着方は前回もお話ししましたが、コーエン兄弟の『ビッグ・リボウスキ』のジェフ・ブリッジスの着こなしにヒントがありますので、ぜひ。

西山徹

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