FEATURE 107
いつか見た景色。FEATURE 107
いつか見た景色。前にも話したことがあるかもしれませんが、昔からの癖なのか、海外に行ったときや、あるいは行かずとも映画やドラマを観ていて、そこにいるなんでもない人が着ている格好に自分なりの価値を見出すことが、今に生きているような気がします。
学校帰りの学生や、喫茶店のスタッフやシェフ、現場の職人、警備員といった普段の風景に溶け込んでいるような人たちが日常的に身に着けているものに魅力を感じます。それは見せつけるようなものではなく、どことなく普通であっさりとした感じです。
アイテムを使ってルックを作るときは、そんなインスピレーションをもとに形作ることもあります。共有できたら楽しいじゃないですか。
僕が普段、このブレザーを着たとしたら、スタンダードなのかも知れませんが普通にデニムやチノパンと合わせます。トップの写真のようなブラウンベースのチェックシャツにかぶり物を加えるとしたら、 ブルーのビーニーというよりはネイビーやブラックのものをかぶるのだと思います。
でも、使い方やコーディネートってそういった僕自身の偏った世界観だけ見せても場合によっては予定調和的で僕自身物足りない気がします。服は同じものでも、着る人によって印象は変わるものですし(着方は言わば、自分の生き方みたいなものですから)、それぞれ身に着け方があっていいのだと思います。
そんな提案もDESCENDANTとしてはあったほうがいいと考えます。
ひとつの正解があってその通りに使うってものでもないと思うので。
1番は人に着てもらうことが大事だとも考えています。
また、アイテムによってオマージュもあるでしょう。ストライプのニットポロは、『グッドフェローズ』のスパイダー(演じたのはマイケル・インペリオリ)がクラブハウスにいるようだし、タッサー素材のトラックスーツはまるで『ザ・ソプラノズ』のクリス(こちらもインペリオリ)に見えてきます(笑)。
西山徹
NO.924
特集「新生活とファッション。」