FEATURE 156

VISUAL MANUAL SECOND HALF

FEATURE 156

VISUAL MANUAL SECOND HALF

これまでに自分が培ってきた潜在的なトラッドなもの。
小さい頃は自然と、その後、90年代には体感として身に着けてきたトラッド。
そういったものが、チューニングされて現代のバランス感になると、DESCENDANTのトラッドになるのかもって最近思うようになりました。

どの時代のどの部分を体現してきたかで、世代間のさまざまなトラッドがあるのだと思います。トラッドというベースにちょっとしたディテールが加わってコンテクストが現れるもので、それは何かのメタファーであったりもします。

自分のクセを見抜く。知る。
意外と大事なことですよね。

何を着て、何を着ないかというスタイルも大事ですよね。彼に合わせたコーディネートのように、ふだんからテニスをしていて、動きやすい服が好きなら、シンプルに着るものを減らしていく。

あるいは彼のような、本や映画が好きで、映像も自分で撮って編集したりするような人なら、寒ければどんどん重ねて着ていってしまうような服に無頓着なくらいが自然でいいのかもしれません。

女性が着ていることで「いいね」って思えるときも大いにあります。ただ男よがりになりがちな女性像ではなく、そんな願望ではない、中性的であることもDESCENDANTのスタンダードとなるといいなと思っています。

フリース以前の生地にビーチクロスというものがありました。コットンとウールが混紡された素材で、防寒性のあるワークウェアとして当時の労働者が愛用していたものです。60年代の終わり頃からフリース素材が出てきて、その役目を終えるのですが、今季のDESCENDANTでは、よくフリースで作るようなプルオーバーに、このビーチクロスをのせて現代に連れてきました。

コーデュロイのスタンドカラーシャツは、まさに90年代のベイエリアのデッドヘッズが着ていたような雰囲気も。後染めのスタンドカラーは僕にとっての90年代そのものです。モックネックやハイネックで防寒している人たちを多く見かけた記憶があります。

あと、やっぱりPコートのボタンは全部閉める。
これが自分たちが昔から見てきた海のベーシックです。

西山徹

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