FEATURE 95

色もいろいろ、あの頃のフリースをもう一度。

80年代後半にグレイトフル・デッドはアルバムの『In the Dark』をリリースしたのですが、たしかそのあたりの時代のデッドのミュージックビデオでフリースを着用していたのが今でも記憶にあるんです。

野外のライブ映像で、寒くなるにつれてメンバーたちが着込んでいく様子も映っていて、ジェリー・ガルシアだったらA-2フライトジャケットを着たりしていたと思うのですが、ひとりのメンバーが、当時いろいろなアウトドアブランドから出ていたスナップボタン付きのプルオーバータイプのフリースを着だして、それがやたら格好いいなって。フリースって僕の若い頃の感覚だと、いつ着ていいのかわからないもので、ファッションとしても取り込んではいなかったけど、アウトドアブランドのものは、とにかく寒いときに着るものだとデッドのPVを観てわかった(笑)。そのときに思ったのは、おじさんが着ても格好いいんだってこと。どんなときに着るのかを知って、納得したときに、ようやく僕の中でフリースが腑に落ちました。

HUMMING FLEECE PULLOVER CABALLO NYLON JACKET

TEE FLEECE JACKET HUTTE FLEECE LS SHIRT

’90年代前半の頃にはよくNYに行っていたのですが、古くからある『Paragon Sports』でマンゴーレッド色のフリースを買いました。誰も着ていないような色がほしくて、たしかこの色を選んだのだと思います。いまもちゃんと手元に残っているのですが、この頃のものと比べると、いいフリースって少なくなったような気がしませんか? だから、DESCENDANTのフリースは、肉感やコシなど、当時の風合いをちゃんと再現したかったので、オリジナルで生地から作っています。時代感も出したくて、絶妙な色のものも結構作りました。こういう色って本当に好きじゃないと作れません。いいかも? では作れない。プルオーバータイプのものは、バインダーテープやトリムを配色にしているのですが、当時の記憶をたどって決めています。あのときの、そのままだと面白くないですし、ちょっとずれているくらいがいまどきでいいですしね。

ASMIL NYLON JACKET CLIMASHIELD HORIZON FLEECE VEST

HORIZON FLEECE CREW NECK HORZON FLEECE TROUSERS

フリースのものだけで、今シーズンは9型作りました。プルオーバーのもので3型、リバーシブルのブルゾンタイプ、同じくリバーシブルでキルティングの裏地に貼ってみたり、ハリントンジャケットをあえてフリースで作ってみたり。プルオーバーベストも面白く着られると思いますし、フリースパンツもいいのができました。

BURY ZIP FLEECE
SHIP KNIT HEAD BAND

西山徹

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